2006/04/06

スタングラス博士とローレンの滞在と原燃の社長への手紙

3月に広島市立大学で行われた「ジェノサイド会議」のために来日したスタングラス博士とローレンモレさんは、25日間に渡って、日本全国13カ所(東京、広島、神戸、京都、名古屋、岐阜、静岡、青森、岩手など)を精力的に回り、講演し、記者会見をし、「乳歯中の人口放射能(ストロンチム90)」の日本での調査について、大きな手応えを感じながら、昨日帰国しました。最後の3泊4日は我が家の無農薬の米や野菜や初もののタケノコを食して、楽しみました。

Leuren, Ernest, Yumi & Gen JPG

有楽町の外国人特派員協会にて、左から、ローレン・モレ、スターングラス博士、きくちゆみ、森田玄

いつもは4月末にならないと食べられないタケノコは、実は、4歳の息子が見つけたのです。庭で土を掘って遊んでいたら、たまたま掘り当てたようで、私に興奮して「ママ、ママ、見てみて、すぐきて、タケノコ、タケノコ」と言ってきました。

私は早速その晩、タケノコご飯を炊きました。我が家は酒と自然塩だけで炊きます。仕上がりに、自生しているセリを細かく刻んで混ぜます。博士もローレンも「おいしい、おいしい」を連発しながら、食べてくれました。まなぶくん、ありがとう。

さて、昨日出したメルマガをこちらにも転載します。たくさん、共感が寄せられています。ありがたいことです。


■ 私が日本原燃の社長に書いた手紙
きくちゆみ
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こんな手紙を日本原燃の社長に送りました。

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日本原燃株式会社
青森県上北郡六ヶ所村大字尾駮字沖付4番地108
TEL 017-571-2002(広報) FAX 0175-571-2136
goiken@jnfl.co.jp
代表取締役社長  兒島伊佐美

前略、

ついに六ヶ所村再処理工場のアクティブ試験が3月31日始まり、4月1日に燃料棒が裁断されました。私はこの日を永久に忘れません。そして、兒島社長が日本の子どもたちのために再処理工場を止めてくださる日まで、働きかけを続けます。再処理工場に使われるお金を省エネや分散型自然エネルギーに投資すれば、どれほど日本の自然やこどもたちのいのちが守られるだろうか、と思うからです。

私にはどうしても理解できないことがあります。この地球は誰のものなのでしょう。一企業にすぎない日本原燃株式会社が、放射能で海や空気や大地を汚染する権利があるのでしょうか。国策会社であるから仕方ないというなら、なおさら、国民のための事業をすべきなのではありませんか。

政府の資料によれば、再処理工場から出される放射能の量は、原発1基の一年分以上にあたります。

   大飯原発1基  六ヶ所再処理工場
気体(希ガス・・・クリプトン85)
      925       330000
気体 ヨウ素131
     0.0025       0.017
気体 トリチウム
     —          1900
液体(トリチウム以外)
     0.035         0.4
液体 トリチウム
      —         18000
プルトニウムなどアルファ線核種
      —         0.0038
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一年合計: 925.06    349900.417
一日平均:  2.53      958.63
*資料出所:原子力安全・保安院(2001)、六ヶ所再処理工場事業
許可申請書(2001)

私は千葉県鴨川で自給ための農業の傍ら、環境や平和をテーマに講演や著作をしています。仕事柄、海外の友人が多く、先日、米国の低レベル放射能の専門家であるアーネスト・スタングラス博士の通訳とインタビューをしました。博士は、ケネディ大統領に大気圏核実験を中止させることになった研究をした米国の偉大な科学者の一人です。

六ヶ所村の再処理工場ではクリプトンをそのまま大気中に放出なさるそうですが、本当に安全で、人体に影響がないのでしょうか。というのは、博士は「安全と言われている希ガス(クリプトンなど)でも、毎日吸っていれば相当のダメージがある。免疫が落ちて(アレルギー性疾患など放射能と関係ないと思っていましたが、アトピーやぜんそく、糖尿病も放射能と因果関係があるそう)、あらゆる病気が増えるだろう」と話されていたのです。全身に寒気が走りました。

イラクやアフガニスタンで米軍が使った劣化ウランが、微粒子となって既に全世界に拡散している可能性が高いことは、イギリスのAWE(核兵器エスタブリッシュメント、英国政府機関)のデータが暴露されたばかりですが(英国バズビー博士の発表、重要ニュースだがまだマスコミ報道はない)、ご存知でしょうか。
http://www.jca.apc.org/stopUSwar/DU/no_du_report25.htm

大気中のウラン濃度がアフガニスタンのトラボラ攻撃とイラクの衝撃と畏怖作戦の7〜9日後に、英国政府に報告しなくてはならない1000npq/m3(ナノベクレル毎立方メートル)を越え、最大で1600nbq/m3を検出しました。これは通常のピークの4倍以上です。日本でも検出されたのでしょうか?日本のデータは誰が持っているのでしょうか?それともイギリスよりは戦地から遠いので、検出されなかったのでしょうか?もしご存知でしたら教えてください。

大気の移動がイギリスで止まるはずはないので、今や全世界の人が劣化ウラン(ウラン238)微粒子入り空気を毎日吸っている可能性があります。このことは日本でも調査、追及されるべきでしょう。

原子力発電所や再処理工場を動かしたり、劣化ウランを使えば、環境中の人工放射能が増えます。このことが、人類と地球上の生物にどう影響していくのでしょう。癌や白血病が増えるだけでなく、健康な赤ちゃんが生まれなくなり、死産や流産が増え、乳幼児死亡率が上がっていくのではないでしょうか。戦場とされたイラクでは、既にこれが現実となっています。

再処理工場が稼働した今、低レベル放射能の影響に無関係な人は誰もいません。原子力発電に賛成だろうと反対だろうと、無関心だろうと、あらゆる人がこの再処理工場から毎日放出される原発の数百倍もの放射能の影響を受けるのです。再処理工場は一日の稼働で原発一年分以上の放射能を出すことを、日本の殆どの人は知りません。もっと周知させていただけませんか。

アメリカでもドイツでもフランスでもイギリスでも、プルトニウムを使う高速増殖炉計画は中止されました。イギリスの再処理工場は周辺に放射能をまき散らし、いろんな病気で子どもたちが亡くなってから、やっと止まりました。もちろん、どの国でも責任ある人たちは因果関係を否定し、責任をとりません。

スタングラス博士の話を聞いてください。彼の著作の何冊かは日本語になっています(『内部の敵』など)。ケネディー大統領が大気圏核実験を中止したように、兒島社長が一日も早く再処理をやめる決断をしてくださるよう、お手紙を差し上げる次第です。放射能廃液の海への放出が始まる前に、日本のこどもたちのいのちを救う決断をしてください。

きくちゆみ

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みなさんも、原燃の社長にお手紙を書いてみませんか?私がこの手紙を書こうと思ったのは、広島の西塔さんからのメールを受け取り、「これなら私にもできる」と思ったからです。放射能汚染が少ないうちに、できることがいろいろあります。生協だけでなく、いきつけのスーパーや八百屋さん、魚屋さん、乾物屋さんでも声をあげていきましょう!子どもたちのいのちが、私たちの行動にかかっています。あきらめるのはまだ早い。青森のリンゴや長いも昆布やホタテ貝を、これからも安心して食べたいじゃないですか。

以下に、西塔さんのメール(転送可)を紹介します:

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メルマガでは西塔さんのメールを書きましたが、このブログではすでに紹介したので、省略します。


そして、最後に私を突き動かした、六ヶ所村の友人のメールです。私たちは日本のどこにいても原発現地であることを肝に銘じて、読んでください。

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On Apr 1, 2006, at 2:10 PM,
昨夜は再処理工場敷地内の照明が一晩中点いていたようで、再処理工場方向の上空が明るくぼうっと光っていて、何とも不気味な気分に襲われました。

とうとう再処理工場の実質操業とも言える本格試験が始まってしまいました。

とはいえ、放出される放射能が少しでも低いうちに、何とかとめたいと思います。

多分、これから何らかの「トラブル」が必ず起こるでしょうから、注意深く警戒しながら、即応できるようにしておかなければと思っています。

「美浜の会メール・ニュース06−12」が流れてきました。
http://www.jca.apc.org/mihama/

ここまで、「アクティブ試験をとめる」を大きな目標としていたので、試験が始まったあとのことも考えなくてはと思いながらも、昨日の再処理工場前の抗議行動では、現実に目の前の工場で実質的な再処理工程が始まって、あの高い煙突から、これから毎日膨大な放射能がまき散らされるのかと思うと、サスガに重苦しく、なかなかモードの切り替えが出来ませんでしたが、美浜の会メール・ニュースで立ち直りのきっかけをいただきました。

「ボクたちは気持ちの切り替えが仕事の一部ですから、いつまでも(敗戦のショックを)引きずってはいませんよ」と答えたのは、アメリカ、韓国に破れながらメキシコの奮戦で奇跡的に決勝リーグに進出したときの世界の王監督のお言葉でした。

夢をかなえるには肉体的にはもとより、何といっても精神的にタフでないとつとまらないようです。

また一歩、一日でも一時間でも早い再処理工場停止、原発社会の廃絶に向けて、取り組んでいこうと思います。

実際に『六ヶ所村ラプソディー』を観た方たちや、今回の一連の動きで初めて知った方々、あらためて関心を呼び起こされた都会の方々など「自分たちに何が出来るだろうか?」と手がかりを求めているように思います。

そんな方たちに向けても、目の前の現実は現実として受け止めながら、新たなプラス方向の希望のもてる動きを模索したいです。

今日は風速20メートルの西風が吹き荒れています。
(以前にもまして、無意識のうちに、風の向きを気にする日々になってしまいました。)

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六ヶ所のお友達のみなさん、もっともっと動けなくてごめんなさい。
今からでも、あきらめずにがんばります。
こどもたちがこの美しい日本で生まれ続け、生き続けられるように。

愛と感謝をこめて

きくちゆみ

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